第6章 pursuit
進軍した第一部隊は、索敵を行い敵と対峙する。索敵は失敗、だがそんなことは関係なかった。あの演練以来、しっかりと成長を遂げていた彼らの手に余る敵ではないにしても……山姥切が陣形を伝える前に、一人和泉守が勝手に駆け出した。
「……! 和泉守待て!!」
「俺は誰の指図も受けない……っ、あんな男の言いなりになって堪るか!!」
「和泉守っ!!」
山姥切が止める声は、和泉守には届かない。勝手に先陣切った代償か、すぐに敵は和泉守に気付き太刀を振り回す。ぎりぎり避けた和泉守の目の前に、更に刃が振り上げられていた。
「和泉守……――ッ!!」
必死な山姥切の声が、戦場に響き渡る。
敵の刃は、振り下ろされ和泉守の肩から上半身にかけて大きく傷を作った。傷口から大量の血が舞い、和泉守は痛みからか顔を歪めた。
和泉守の勝手な行動により、刀剣達の調子は崩されそれぞれが一気に駆け出した。
「おい待てお前達! 闇雲に出るな!!」
その場にいた誰もが、最早山姥切の声を聞いてはいなかった。仲間を助けるため、敵を倒すため、それぞれの想いが交差しては血生臭い戦場で散り散りとなる。僅かに感じていた嫌な予感は、こうもあっさりと命中してしまう。
山姥切も仕方なく駆け出していく。
その戦場をモニター越しに見ていた理仁は、立ち上がった。