第6章 pursuit
「まずいな……」
「山姥切殿! どうしますか? 次は」
「ああ……一期か。このまま進軍してもいいとは思うんだが、あの二人のことが気がかりでな」
「そういえば、あの二人ずっとあの調子ではありませんか? 大丈夫なのでしょうか」
「一度理仁に指示を仰いだ方がいいだろうか……」
「山姥切殿がそう思うなら、私自身は問題ありません」
「石切丸! どうする」
「私も君の判断に任せるよ、隊長」
「僕も僕も!」
一期同様、石切丸と乱も山姥切に判断を委ねた。山姥切はどうすべきか考えながらも、仕方なく一度通信を理仁へと繋いだ。
「おい、無事この場は一掃した。進軍はどうする? 一つ気になることがあって、あんたの指示を仰ぎたい」
『国広か。いいぞ、どうした?』
「岩融と和泉守が揉めている。一つは岩融が手を抜いていることについて、和泉守が噛み付いている。もう一つは……和泉守の剣筋が濁っているように見える。迷いとは違う、はっきりとは……よくわからないが」
『ふん……そうか』
理仁の声は心なしか浮かない感じに思えた。山姥切はただ静かに、次の理仁の言葉を待つ。小さく溜息が聞こえたかと思えば、理仁の返事が来る。
『とりあえず次まで進軍しよう。その次はボスだったな……そこでもう一度考える』
「わかった。じゃあ、進軍する」
通信を切ると山姥切は皆に進軍を伝えた。岩融はあっけらかんと笑うだけだが、和泉守だけは不満を顔に出し苛立ちを今にも爆発させそうな雰囲気を纏っていた。一体何に対してそこまで苛立っているのか、この場にいる誰もわからない。和泉守が何を考えているのかさえ。