第6章 pursuit
「兼さん……今日は動きが鈍いね」
堀川の指摘は的を得ていた。理仁は「うーん」と唸りながら、お茶を啜る。
「堀国、お前から見て今日の面子はどう思う?」
「どうって……うーん、岩融さんがいるから大きく問題はないと思うけど、それにしても岩融さん動かないね……。兼さんを除く他の人達はいつも通りだと思うけど……なんか、兼さんと岩融さんの様子、おかしくないですか?」
「お前もそう思うか」
「ええ……まぁ」
「……ただの気のせいであればいいがな」
理仁はモニターを見つめながら、目を細めていた。
その頃、戦場ではそれぞれが武器を手に刃を振いながら、特に岩融と和泉守が何やら声を荒げていた。
「てめぇ岩融! なんでぼさっと見てるだけなんだよ!!」
「あ? 俺は主に力を加減してやるよう言われてるからな。この辺りの敵は、俺が一振りするだけで全員沈んでしまうぞ」
「はあ!? 調子に乗るのもいい加減にしろよ! あんたもあんたで、どうしてそんな素直にあんな男の言うことが聞けるんだよ!」
「おかしなことを聞くな。理仁は俺の主だ、従うのは当然であろう? お前とて、そうではないのか?」
「俺をあんたと一緒にすんじゃねぇ!! 俺は……俺はあいつの言いなりになんかならねぇ!!」
「ほう……」
「おいお前達! 無駄口を叩いてないで戦いに集中しろ!」
見兼ねた山姥切が二人に声をかける。渋々二人は集中するが、それでも何処かいつもとは違う二人に山姥切は一人眉間に深く皺を寄せた。