第6章 pursuit
「先日伝えた通り、今日は函館へ遡ってもらうことになる。資源はいつも通り確保、敵は全て薙ぎ払え。後はこれもいつも通りだが、無理に進軍しようとするな。必ず逐一俺に報告すること。部隊長は山姥切国広、お前だ」
「何を期待しているのやら……」
「はいはい。で……今日は和泉守の希望を聞き入れる形で、堀川国広。お前を今回部隊から外す」
「……っ!? それはどういうことですか!?」
「そのままの意味だ。代わりに岩融、お前が部隊に加われ。お前は一人練度が飛び上がってるから、他の奴らに経験値が行き渡るように上手く立ち回れ」
「おう、わかった」
「主さん!」
「以上だ。他に意見がないなら、全員いつも通りに頼む」
「主さんってば!!」
堀川は一人理仁へと詰め寄る。他の面子は理仁の言う通りに、すぐに出陣の準備を整え始めた。
「どうして僕が……っ、兼さんと一緒に出陣させて下さい!」
「悪いがそれは出来ない。文句なら後で和泉守に言え」
「もしかして……昨夜主さんが兼さんと揉めてたのって、このことが原因なの?」
「いや、そのことは関係ない。たぶん」
「……ッ、もういい! 主さんじゃ話にならないから兼さんを問い詰めてくる!!」
出陣組は既に本丸の門前に立ち、今にも出陣しようとしていた。そこへ堀川が焦った表情を浮かべて和泉守へと食らいつくように、勢いよく胸倉を掴み上げていた。理仁は小走りで堀川の後を追いやってきた。理仁の姿を、和泉守は堀川に掴み上げられながらも視界に入れる。