第6章 pursuit
「主さん! 何の騒ぎ……って、兼さん!? ちょっと何してるの主さんに!!」
姿を見せたのは堀川だった。彼は馬乗りになっている和泉守を見ると、血相掻いて理仁の上から引きずり下ろした。騒ぎを聞きつけて、他の刀剣達も様子を見に来たのか理仁の部屋の前に集まり始めていた。
「おい、何があった!」
そんな中で山姥切は勢いよく部屋に飛び込み、起き上がろうとしている理仁に駆け寄ると手を貸してやる。堀川に押さえつけられながら、和泉守は大声で叫び始めた。
「てめぇらだってほんとは心の中で思ってんだろう!? この男は、俺達を見下しているんじゃないかって!! そう思ってるから、必要以上にこいつに関わろうとしないんだろう!? 違うか!!?」
「兼さん……っ、ちょっともう! やめて! やめてよ!! 僕はそんなこと思ってないよ!」
「お前らが本音を言ってやらねぇからいけないんだろう!! 審神者だが主だが知らねぇがなっ、俺は絶対にあんたを認めない! 俺達と本気でぶつかる覚悟もないような奴が、主だなんて認めて堪るか!」
「兼さん!!」
和泉守は堀川の腕を振り払うと、勢いよく廊下を走り去って行った。他の刀剣もなんとも言えない表情で理仁へと視線を向けたが、岩融が上手く宥めて他の刀剣を連れて部屋へと戻っていった。その場に残ったのは、理仁と山姥切だけだった。