第5章 promise
「いや、お前達はよくやってくれた。急な俺の作戦にしっかり着いて来てくれたこと、感謝してる。ありがとう」
理仁がそう言い終わると、彼らの表情も柔らかいものへと変わった。安堵したように微笑みを見せ、それぞれが大きく深呼吸した。初めての演練、しかもその相手が自分達とはかけ離れた練度を持つ部隊。緊張しないはずがなかったのだ。
演練は折れることがない決まりだが、今回ばかりはそれでも本当に壊される、折れるとさえ思えただろう。それくらい死と隣り合わせに感じた戦いだった。とはいえ、全員無事こうして笑顔で再会することが出来たのだ。それだけで、今は十分すぎるくらいだった。
「皆はそのまま休憩していてくれ、俺は他の審神者達と情報交換でもしてくる。ああ、ちゃんと国広を連れていくから心配ない」
「わかりました! では、山姥切さん。主さんを頼みましたよ。なら、少し歩こうか兼さん」
「おう。で、どれくらいに戻る?」
「二時間……あ、お前達はそれじゃあわからないか。一辰刻くらいには、再びここで落ち合おう」
「ん、わかった」
和泉守は「じゃあ行くか」と口にして、堀川を連れその場を離れた。他の刀剣達も、自由時間を与えられ散り散りとなる。
残された理仁と山姥切は、一緒に会場内をぐるりと探索し始めた。初めて来た場所なのだから、色々と見て回りたいという好奇心は当然のようにあった。通り過ぎる人々の中に、たまに身綺麗な着物や巫女服に身を包み顔に特殊な紙を張り付けた者達がいる。ああいう者達は、所謂名家出身の審神者が多い。