• テキストサイズ

刀剣乱舞 盤上のクロッカス

第4章 stormy



「大丈夫か?」

「……見てわからないのか、この……馬鹿主」

「ふっ、憎まれ口が叩けるなら十分だ」

「おい、理仁殿」


 三日月は一層恐ろしい顔で、切っ先を理仁へと向けていた。


「この場まで下りてくるとは、余程間抜けな主と見える。演練の決まりを読まなかったのか? どのような事態になろうとも、戦場に下り立つことを禁ずる。俺達は刀だ、戦のあとは体内の血が沸騰するような高揚感に包まれる。同時に、まだ足りぬと血を求め暴走することもある」

「そうか」

「理仁殿、そなたは今俺に斬られても文句は言えない状況下にあると、理解出来ておらぬのか?」

「下りたら罰でもくだるのか? そうは書いていなかったはずだが。下りるなら、覚悟をしておけ。とな」


「三日月! そんないけ好かぬ男!! いっそ見せしめで殺してしまえ!!」

 三日月の審神者がそう叫ぶ。


「主もああ言っている。今後のために、斬らせてもらうとしよう」


 ゆらりと刀を握り直し、重症の山姥切を抱く理仁へ向けて刀を振り上げた。


「悪く思うなよ、人の子」


 ……――刀が振り下ろされる。


「理仁……――ッ!!」


 会場の方で、彰人の声だけが響き渡った。





 だが、三日月の想像通りの未来は訪れなかった。――銃声が突如響く。


「……そなた……っ」


 三日月が目にしたのは、白銀色の銃を構えている理仁の姿だった。銃口は煙を上げ、発砲したことを告げていた。三日月の刃は、何か重たい衝撃を受け軌道を逸らされてしまい、理仁達の横を斬り裂いただけだった。


「悪いな。俺も、考えなしに審神者をやっているわけじゃないんだ」


 理仁は不敵な笑みを見せ、引き金に指を添えたまま好戦的に銃口を三日月に向けた。

/ 161ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp