第4章 stormy
「闇討ち、暗殺、お手の物っ!!」
乱よりも深く斬りこむ、だが三日月もあっさりと攻撃を受けるような相手ではない。何とか避けようとするが、軽傷程度の傷を肩に受けて表情を変える。
「ふっ、そう来るか」
三日月が美しい刀身を振り上げ、目の前の堀川を斬り捨てる。練度が低い堀川だ、当然血を流し大きく転がるように地に倒れる。
「国広!! くっ! 三日月っ……、てめぇ……!」
ここからが本番。和泉守は大きく浅葱色の羽織を翻し、血走った瞳で抜刀し三日月と対峙する。その間、後方で山姥切と一期が上手く敵の攻撃を避けながら、和泉守達の方へと急いで走っていく。
「山姥切! 後ろのことは私に任せておきなさい。君達は安心して、主の命令通り動くといい」
「ああ、わかってる。石切丸、後ろは任せたぞ、俺達は先に行く!」
相手の刀剣のレベルは、遙かに大きく山姥切達を上回っている。まともに相手にしていたら、すぐに倒されてしまうだろう。彼らが選択したものは、本当にほんの僅かな希望のようなものだった。
「山姥切殿!!」
一期の声に反応して足を止める、大太刀が襲い掛かろうとしていた。一期が精一杯遠くの方へと山姥切を突き飛ばして、自らの刀で何とか大太刀の攻撃を凌ごうとする。だがそれは無謀だ。
「一期一振!!」
「行って下さい! 早く!!」
「……っ」
一期のお陰で、間一髪無傷で済んだ山姥切は一期を助けたい思いを振り切って、必死に三日月へと向かっていく。もうあと少し! その瞬間、三日月が容易く和泉守を斬り捨てている光景が目に飛び込んでくる。三日月がにやりと、微笑んだ。山姥切は唇を噛んだ。