第4章 stormy
「さて、時間だな。行こうか、宝条理仁流の戦い方をあの男に、たっぷりと教えてやるとするか」
緊張も不安も呑み込んで、理仁達は会場入りした。
「宝条とか言ったな、小僧。わしに喧嘩を売ったこと、後悔させてやろう!!」
「それは楽しみだな」
「馬鹿にしおって……!」
「そっちは太刀三振りに大太刀三振り、攻撃重視なんだな」
「ふんっ、機動力など最早練度さえ十分にあれば必要ない! そっちは短刀もいるみたいだが、わしの太刀と大太刀の敵ではないな! 今回の大演練会は刀装なしが条件でよかったなぁ? ははっ!」
「お手並み拝見といこう」
どんなに男が煽っても、理仁はふっと微笑むだけだった。気に食わないだろう。勿論、それさえも計算の上で理仁は男と対峙していた。
「演練! 開始!!」
役人の合図と共に、戦闘が開始される。部隊長である山姥切が、まずは隊の先頭に立ち声を上げる。
「嫌な空気だな……囲まれてないか確認しろ!」
「山姥切さん! 索敵成功したよ。陣はどうする?」
「相手は逆行陣か……こっちは魚鱗陣で行く! 第一部隊! 魚鱗陣!!」
山姥切の声に合せて、全員が配置につく。相手の姿をしっかりと捉え、抜刀する。一斉に地を蹴り、走る!
「今だ!!」
山姥切の合図と共に、機動が一番高い乱がアクロバティックな動きと共に敵に姿を見せる。
「油断大敵っ!!」
乱の愛らしい声と共に、彼の短刀がまずは三日月を捉えて一撃、傷をつける。しかしまだ浅い、軽傷にも満たない。だが軽やかな動きで、乱と入れ替わるように懐に飛び込もうとやってきたのは堀川だった。