第4章 stormy
「おいあんた、この状況どうするつもりだ? 言っておくが、現実的に考えて俺達があの男の刀剣達に勝てるとは思えないぞ」
「そうだな」
「あんた……っ、わかっててやったとでも!?」
「俺に考えがある、任せろ」
政府の役人が来て、手続きを済ませると男と理仁は演練会場へと向かうことになる。勿論観客は想像以上に沢山いる。ここで容易く負ければ、想像しなくてもわかる展開が待ち構えているだろう。
理仁は役人から演練のルール表と、相手の部隊編成表を眺めていた。準備が整った刀剣達は、理仁の元へ集まり彼の言葉をただ待った。自らの主が、あまりにも軽率な行動をして無様に散らされるだけは勘弁したいところだろう。
「部隊長、山姥切国広」
理仁が名を告げると、一歩山姥切は前に出る。
「何か言いたいことはないか」
「どうして部隊に岩融を加えない?」
理仁の提出した部隊表の中に、岩融の名前はなかった。岩融自身は特に異論はないみたいだが、相手が相手だ。強い刀剣をいれるのが普通と考えるだろう。
「岩融は駄目だ。下手に練度が高い奴をいれると、政府側にも不審に思われる。ここぞという時に、岩融には活躍してもらう。だが今はその時じゃない」
「あんたが買った喧嘩だろ!? どうするつもりだ!!」
「部隊は山姥切、堀川、和泉守、乱、一期、石切丸。この六名でいく、変更はない」
「……っ、俺達を負けさせたいのか!!?」
山姥切が理仁の胸倉を掴む。他の刀剣達も、山姥切と同じ気持ちだろう。全員険しい顔で、理仁のことを睨んでいた。