第4章 stormy
「そこまで言うのであれば、俺と一戦交えてみるか?」
「はあ? わしと、お前が? わしの話を聞いていたのか? お前、馬鹿なのか?」
けたけたと笑う男を制するように、一歩三日月が理仁の方へと近付いた。
「悪いことは言わん。早々に立ち去るといい、俺も弱い者いじめは好きではない」
三日月がにっこりと、そう告げれば理仁の後ろに控えていた刀剣達が一気に殺気立つのが手に取りようにわかる。彰人でさえ「こんの三日月野郎!」と罵声を飛ばすほど。けれどただ一人、理仁だけは相変わらずの冷ややかな表情で三日月と対峙している。
それだけでも、十分周囲の注目を浴びていた。
「弱いかどうかは、戦ってみればわかる」
「戦わずともわかる。まさか、そなたはそれもわからぬほどに未熟者の審神者だと?」
「いや? これでも今回、審神者の中で上位五位には入るつもりで来たが?」
理仁の言葉に、その場が一瞬で凍り付いた。この新人は一体何を言っているんだ? と。
「わしを馬鹿にしておるのか!? これでも審神者業界では、名家の者だぞ! お前みたいな何の訓練も受けずに審神者になったような、ひよっことは違う!! 馬鹿にするのもいい加減にしろ小僧!!」
「馬鹿にされている自覚はあるのか」
「貴様……っ、もう許さん!! わしと勝負しろ!! わしが負けたら、なんでもお前のいうことを聞いてやるわい!」
男の宣言に、周囲が湧く。面白いことが始まったぞと、誰もが注目し周りに集まり始めていた。理仁は大きく溜息を吐いて、面倒だなという顔で自らの部隊を見た。殺気立つ中、山姥切だけは険しい表情で理仁をじっと凝視していた。