• テキストサイズ

刀剣乱舞 盤上のクロッカス

第4章 stormy



「俺の"国広"に、触れないでくれ」

「お……? なんだ。理仁も案外、ちゃんと人の子だな」

「どういう意味だ馬鹿野郎」

「いや、お前が問題なく審神者やってるみたいでよかったってことだよ」

「柄にも心配してくれたのか? てっきり俺は泣きながら現世に逃げ帰ったと思ってた」

「お前は俺をどんな奴だと思ってんだよ!!」


 他愛もない会話。けれど、知っている人がただそこにいる安心感。理仁は安堵したように、笑みを向けた。傍ら控えていた山姥切へと視線を向けてみれば、俯いたまま。


「……? 山姥切、どうした?」


 顔を覗き込めば、驚くほど顔が赤かった。


「え、お前どうし……」

「そんな風に俺を、呼ぶな……っ」


 顔を隠してそそくさと後ろへと下がってしまった。なんだ? あいつ。理仁が瞬きをしている中、彰人は「やれやれ」と苦笑いを浮かべた。

 すると、どこからともなく理仁達に向けられているであろう、下品な笑い声が聞こえて来た。近付く気配に、理仁も彰人も顔をしかめた。


「はっはっはっ! 新人が一人前に、審神者気取りか! こりゃ笑える!! あっはっはっ!」

「てめぇ、誰だ」


 彰人はきつく睨み、今にも飛びかからんとしていた。


「彰人様、おやめ下さい」

「てめぇは黙ってろ長谷部! これは俺と、このおっさんの問題だ」

「しかし……っ」

「彰人、自分の刀剣を脅すな」


 理仁が軽く彰人の頬をぶん殴った。それも容赦なく。彰人は頬を押さえて理仁に飛びかかりそうになるが、今度こそそれを長谷部が止めた。

/ 161ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp