第4章 stormy
「では行きますよ! 転送開始!」
こんのすけの声に反応して、理仁達の身体は淡い光に包まれて透けていく。瞼を閉じて、身を任せていると……――次に目を開けた先には、沢山の人に大きな会場がどんっと構えていた。
右も左も、審神者と刀剣達だらけ。まったく見たことのない刀剣達もいた。理仁が会場を眺めていると、人混みを掻き分けるような大きな大きな声が響いた。
「理仁! 理仁やーい!!」
「この声は……」
ぴくりと眉をひそめた。声のする方へと顔を向ければ、物凄い笑顔で手を振りこちらに向かって来る男の姿があった。見間違うはずがない、あれは彰人だ。その後ろに控えているのは、彰人の初期刀であろうへし切長谷部だろう。
「やっとお前に会えたぜ! お前電話しても出ないんだもんさ」
「悪いな、演練会のために忙しかった」
「なんで? 適当にこういうのは参加して、交流をメインでやんないとさぁ」
「興味ないな……俺は資源の方が欲しい」
「そういうと思ったぜ! てことはあれか、必死に底上げってやつか? レベル上げる時間なんてあったか?」
「単純なレベル上げはいまいち。ただ、毎日稽古に励んで小手先くらいは」
「流石、知性派はやることが違うな。あ、そういえばお前の初期刀どこ?」
「山姥切、来い」
理仁が名を呼ぶと、渋々布深く被って山姥切が理仁の隣に並ぶ。彰人は物珍しそうにじろじろと彼を眺めては、触れようとする。一瞬、山姥切はびくっと反応を見せ刀に手をかけた。
「やめろ、彰人」
だが、伸ばされた彰人の手を理仁が掴んだ。それにより、彰人の手が山姥切に触れることはなかった。