第4章 stormy
「なら共に来い。ただの薙刀であるつもりがないというのなら」
「……宜しく頼む、主」
岩融もまるで理仁に敬意を払うかのように、態度を正し理仁の手を取った。軽く握手を交わすと、理仁が口にする前に岩融はせっせと門を片付け直し始めていた。それを確認して、ようやく理仁は和泉守に声をかけた。
「本丸内に戻るぞ、和泉守」
「は!? え、おいっ、あいつはいいのか!?」
「いいんじゃないか? うちは今、人数も少ないしある程度の戦力も必要だ」
「確かにあいつは、練度も十分あるみたいだし……戦力には、なるけどよ……信用できんのかよ」
「さあな、俺次第じゃないか?」
「はあ!? なぁ、今からでもあいつ、追い出そうぜ主。まだ間に合う」
「和泉守、目的がある者はある程度の手段は選ばないものだ」
「お前はもう少し選べっ!!」
和泉守の怒声を浴びながら、空を仰ぐ。現代にいた頃と変わらない、真っ青な空。これが例えば偽物だとしても、それ嘘だと証明する術を今はまだ持ち合わせてはいなかった。
事実だと述べられたものを覆すためには、確実な証拠と論破するための材料が必要不可欠である。
◇◆◇
深夜。真っ暗な部屋の中、小さな蝋燭の灯りだけを頼りに理仁はぼうっと襖を開け、隙間から三日月を眺めていた。雲は去り、美しい月と星、深い深い群青色の夜空だけを映し出す。怒涛のような毎日は過ぎ、気付けば明日には大演練会が控えていた。時間が過ぎるのは早い、それはもう現代で当たり前のように学生をしていた頃と比べると、本当に早すぎて眩暈がするほどに。
理仁は現代から持ってきて手帳の中から、一枚の写真を取り出した。