第3章 visitor
「(こいつ……人間のくせに、大した身体能力じゃねぇか)」
二人が向かうのは、音の根源である門だった。
到着した先は、見事に門が粉々に破壊されており、破壊された木材に埋もれている大男を発見する。和泉守は抜刀し、反射的に理仁を背に隠し構えた。
「てめぇ、誰だ!! 敵かっ!!?」
大男は、物凄い音と共に木材を吹き飛ばした。いや、薙ぎ払ったというのが正しいかもしれない。大男は、にやりと笑みを浮かべ薙刀を構えた。
「おお、小さすぎて気付かなんだわ。俺か? 俺は……――」
大男の視線の先は、真っ直ぐ理仁を捉えていた。視線に気付いた理仁は、表情を硬くする。
「俺は岩融。理仁……だったか、その名を持つ審神者は……貴様か?」
この大男、岩融の狙いは審神者か? 一体どうするつもりなのか。場に緊張が走る。理仁は様子を伺っているのか、岩融の問いに答える気はないらしい。代わりに、和泉守が鋭く睨み付け切っ先を岩融へと向ける。
「警戒されているか、まぁ無理もなかろう! 理仁、俺を貴様の刀剣にしろ!!」
刺すように冷たい空気が、嵐を告げるように吹き抜けた。