第3章 visitor
「これも科学の進歩か……」
「宝条様。なんでも現代科学の進歩だと思い込まぬよう、お願い致します。とにかく、これはチュートリアルなので負けることは確定しておりましたので。次に移りますか」
「なんだと……?」
「あっ! 山姥切様の刀でわたくしめを斬ろうとしないで! ごめんなさい!! もうしませんから!!!」
負けるとわかっていて、何故行かせた? という恐ろしい顔で、理仁は抜刀してこんのすけへと斬りかかろうとする。だが理仁の軽い冗談らしく、とりあえずは場は収まった。
次に、三人が向かった場所は鍛刀室。
「ここでは、資源を使って新しい刀を作る場所です。試しに、一振り作ってみましょう。山姥切様、初期値レシピで資源を集め鍛刀の妖精に渡して下さい」
「……わかった」
山姥切は適当に見繕うと、小さな刀鍛冶へと渡した。とんかちとんかち、音がする。
「これも手伝い札にて、時間を短縮することが出来ます。今回も初ですし、使っておきましょう」
そう言ってこんのすけが手伝い札を妖精に渡す。すると、突然物凄い勢いで刀を完成させ宝条へと渡した。
「……刀だな」
「新しい刀は、作られたばかりの時はまだ人の形を為していません。審神者の霊力を込め、名を呼ぶことで彼らは応えるのです」
「……」
理仁は刀を受け取ると、そっと目を閉じた。すると、ふわふわと浮かんで来る一つの名前。これが、この刀の名前だと知り静かに霊力を刀に込めて名を叫んだ。