第3章 visitor
「ふっ……血で汚れているくらいが、丁度いい」
「宝条様。手入れ部屋へと行きましょう、刀剣様は手入れ部屋にて手入れをされることでその傷を癒すことが出来ます」
「なら、急ごう。立てるか? 山姥切」
「……あ、ああ」
理仁に支えられて、こんのすけの案内の下、理仁達は手入れ部屋に到着した。こんのすけはぴょんぴょん跳ねながら、理仁に伝える。
「宝条様! ここにある手入れ道具にて、山姥切様を手入れして下さい」
「……これで?」
「このポンポンするものが"目釘抜(めくぎぬき)"、この粉は"打粉(うちこ)"、この紙のようなものは"拭い紙"、そして"油"と"油塗紙"と……この五つを使い山姥切様本体を手入れすることで傷は治癒されます」
「……刀の手入れなど初めてだ」
「山姥切様、腰の刀を宝条様に」
山姥切が力なく理仁に刀を渡す。理仁はそれを受け取ると、山姥切を畳に寝かせた。
「手順はこの紙に記してある通りです。とりあえず、今回はわたくしめから"手伝い札"というものをお渡ししますのでこれで高速治癒で御座います。お急ぎの際にお使いください」
こんのすけから手伝い札を受け取ると、その札を折ってみる。すると、みるみる内に淡い光に包まれて山姥切の刀は綺麗に元通りとなった。ふと彼へと視線を向けてみれば、彼自身も綺麗に跡形もなく傷が治癒されていた。破れていた服さえも。