第3章 visitor
「綺麗だな」
理仁の言葉を、山姥切は耳にしていたのかもしれない。少しだけ嫌な顔を見せた。ああ、声が聞こえているのを忘れていた、と思わず笑ってしまいそうになる。刀を握り、戦うその姿は鮮やかで一瞬舞っているようにも思えた。
敵は骨に近い形をしており、禍々しい空気と共に刀を口元に咥えては、山姥切へと斬りかかる。
「まるで、事切れる前に敵に一撃を食らわさんと、口に短刀を咥えて首だけで飛躍しているように見えるな」
「恐ろしいこと言わないで下さいよ……あの者達を、人であったかのように言うのはおやめ下さい」
「そうだな……」
暫く戦いを見守っていた。こちらが有利かと思われたが、どうやらそうではないらしい。一気に短刀に斬りこまれ、山姥切は重傷を負い突然刀身が光り輝く。
「俺を写しと侮ったこと……後悔させてやるっ、死を持ってな!!」
彼が刀を振り下ろすと、光の一閃が敵を破壊する。
「出ました宝条様! あれが刀剣の真剣必殺で御座います!」
「……必殺技というやつか」
一体は破壊できたものの、もう一体の攻撃は防げない……っ! 山姥切はあっけなく、敵にやられて倒れてしまった。すると、自動的にこちらへ転送される。
「山姥切!!」
理仁が戻って来た山姥切の元へ駆け寄ると、痛みに苦しそうな顔を浮かべて、自嘲気味に口を開いた。