第3章 visitor
「いつも通りのお前でいればいい。大丈夫、刀装とやらも付けたし心配ない」
「あんたは俺のいつも通りを知らないだろう」
「ああ知らない、だからお前に任せる。それでいいだろう?」
「ふんっ……勝手にしろ」
「では参りますよ! 山姥切様! 宝条様、耳のピアスに触れ山姥切様へ手をかざして、先程教えた言霊を唱えて下さい」
「……ああ」
海色のピアスに触れ、理仁は山姥切へと手をかざす。
「"合戦場1-1、函館、座標固定。転送を開始する"」
すると、淡い光に包まれて山姥切の姿は消え去った。部屋の中にある大きなモニターに、函館に無事降り立った山姥切の姿が映し出されていた。
「山姥切、調子はどうだ? 何か違和感はあるか」
『いや、問題ない』
「そうか。ならば先程こんのすけが説明した通りの手順で、進めてくれ」
『了解した。索敵を始める』
こんのすけと共にモニターを見つめながら、ふと理仁は思ったことを口にする。
「先程の言霊、もう少し短縮化させて転送を行うことは出来ないのか」
「出来ますよ。新開発した装置を用いれば、の話です。ただしそれを与えられるかどうかは、審神者のランクによって決められています。成績優秀者上位に入れば、すぐにでも発注が可能です」
「上位に入るのには、まずどうすればいい」
「そうですね……単純にいい成績を残すことと、一番手っ取り早いのは近々行われる演練にて、実力を示すことですね」
「それに参加する条件は?」
「刀剣様六振りで参戦するのが条件です。それ以外の条件は特にありません、レベルも練度も関係御座いませんよ」
「そうか……」
理仁が目を細めたと同時に、モニター越しに山姥切を見据えた。
『嫌な空気だな。敵を発見した、参る……!』
通常、陣を形成し敵へと攻め込むのが通常だが、今回はチュートリアルというやつで、山姥切が一人出陣となった。敵は二体、まず一閃山姥切が斬りこんでいく。相手もまた、同じように斬りこんでくる。相手はどうやら、二体共短刀だ。短刀の特徴は素早さに特化しており、攻撃が急所に入ることが多い。ただし防御力は低いらしく、その証拠に山姥切の一撃で大幅の体力が削れていた。
美しい山姥切の刀身が光に反射し、きらきらと輝く。