第3章 visitor
「いやはや、驚きましたよ! まさかいつの間に、宝条様は山姥切様と和解を?」
「そんなことはどうでもいい。さて、少し遅くなったが一通りの説明を頼めるか?」
「はい、勿論で御座います。まずは装備を整え、出陣するとしましょう!」
こんのすけに案内され、理仁と山姥切が向かった先は鍛刀室と書かれた部屋の隣。
「ここは刀装部屋と呼ばれる場所で、刀剣様と共に戦う兵士を作る場所です。人によっては妖精、などとも呼ばれていますが」
「ファンシーだな」
「試しにいくつか作ってみましょうか。山姥切様はその台に飾られている鏡に、手をかざしてみて下さい。宝条様は山姥切様の肩に、手を添えて霊力を彼に注ぎ込むイメージを」
「俺も協力するのか。まぁ、いいだろう。やるぞ、山姥切」
「わかった」
こんのすけに言われた通り、二人は刀装作りに集中する。すると、暫くして鏡の中から光が溢れ何かが飛び出してきた。
「ん……?」
光が止んだところで、理仁が目を向けるとくりくりとした瞳で、こっちをじっと見つめている妖精? のような人物がいた。
「この者は刀装の軽歩兵。うむ、上の軽歩兵ですね」
「……軽歩兵」
珍しいものを見るような目で理仁が見つめ返すと、歩兵は敬礼して途端に口を開いた。
「たたかうのです?」
「……」
「あっ、あっちょっと宝条様! 軽歩兵掴もうとしないで! お願いだから掴もうとしないで!! やめてあげてぇええええっ!!」
目をきらきらさせて、摘まみ上げようとする理仁を、こんのすけは必死に止めていた。異様な光景に山姥切はじと目になった。
気を取り直して、管理室に理仁達は集まる。身体に鎧を付け山姥切は刀の柄に触れる。いよいよ戦になるのだ。緊張していないかと聞かれれば、たぶん嘘になるだろう。少しだけ不安そうな表情を浮かべる山姥切に、理仁はそっと彼の頭を撫でた。