第2章 conspiracy
この男は、何故そんなものを持っている? そして何故このような男が、審神者になれたのか。
前々から気になっていることはあった。しかし、一人でその上層部を知ることはきっと出来ない。この男、審神者でなければ。
「俺はあんたを認めるつもりはない。俺は人間が嫌いだ、それは変わらない。だが、あんたについて……少しは知りたいと、思う。そ、それだけだ! わかったか!」
「一緒に、来るんだな?」
「勘違いするな。この俺が、仕方なく手を貸してやる……だけだ」
山姥切は乱暴に、差し出された理仁の手を取った。
◇◆◇
薄暗い部屋の中、大きなモニターを前にこんのすけは一度会釈した。
「ご報告致します。審神者№1341、宝条理仁は例の山姥切国広をとりあえずは懐柔した模様です」
『そうか。№1341は使えそうか?』
「はい。現時点では、不審な動きもなく我々の動きにも気付いていない様子です」
『ならばいい。あの男は……使える。他の使い捨てとはまるで違う、特注品だ。過去の記憶を引きずり出したまま、付喪神に人の形を与えるのは大変だったぞ』
「しかし苦労した甲斐はあったかと思われます。この二人であれば、我々の野望も達成されるやもしれませぬ」
『だが油断は禁物だ。田頭には気を付けろ、あいつはこちら側の人間でありながら、審神者に肩入れしている節がある。特に№1341には強い興味を示している』
「かしこまりました。また動きがあり次第、ご報告致します」
『良い報告を待っているぞ』
モニターの画面は真っ暗になった。
静かになった部屋の中で、くくっとこんのすけは薄らと笑った。
「宝条様、今暫くお付き合い頂きますよ。我々の野望に」
こんのすけの瞳は、怪しく赤黒く光っていた。