第2章 conspiracy
「なんだ、これ」
布団を掴みながら顔を上げると、もっと意味不明な光景が広がっていて柄にもなく目を見開いた。理仁の視線の先には、昨日まで完全拒絶を決め込んでいたはずの山姥切が、どういうわけか膝を抱えながら眠っていた。どういう心境の変化だ?
のっそりと起き上ると、這うように山姥切へと近付いた。すると、ぴくりと反応を見せ勢いよく顔を上げた。
「あっ」
「……っ!!?」
同時に、目が合った。
山姥切は勢いよく後退り「なっ、なっ……」と口を鯉のようにぱくぱくさせていた。
「山姥切……?」
「……っ、こ、これはその! す、少しだけならあんたと話してやってもいいと思って、部屋を尋ねてみればその、何も羽織らずに寝ているから風邪を引くだろうと思ってだな! だ、だから特に深い意味はなく……!」
「……。すまない、結局何が言いたいんだ? 寝惚けていて上手く理解出来ない」
「……っ、あんたのそういう理屈っぽいところが嫌いだっ!!」
理仁がきょとんとしている中、山姥切は勢いよく部屋を飛び出して行こうとする。咄嗟に理仁が彼の腕を掴めば「離せ!」と腕を振り回す。
「こら、危ないだろう。やめろ」
「あんたが離せば済むことだ!」
「俺に用があって、部屋に来たんだろう? まあ落ち着け。話をしようじゃないか」
「あんたに話すことなんて、何もない!」
「話してやってもいいんじゃなかったのか?」
「前言撤回だ! くっ、離せ! 細い腕をしてるくせに、手ごわい!!」
「……これでも毎朝ランニングと筋トレをしているからな。ただ悲しいことに、腕は綺麗に筋肉がつかなくてね。これでもある方だ」
「そんなことは聞いてない!!」
ぎゃあぎゃあ暴れる山姥切に対して、冷静に会話を続ける理仁達の元へこんのすけがやってきた。