第10章 god
「簡単に説明するとよ、理仁はその政府のお偉いさんに捕まえられててこの本丸に帰れなくなっているらしい。お偉いさんは何か良くない実験をしているらしく、もしかしたら理仁を利用する気で呼び出し拘束しているかもしれねぇってわけだ」
「……それを俺に伝えて、あんた達はどうするつもりなんだ」
「決まってんだろ!! ……一緒に理仁を助けに行こうぜ!」
「……は?」
嬉しそうに力説する彰人に、一瞬山姥切は拍子抜けした声を上げてしまった。この緊迫した空気の中、それを切り裂くような彰人のあっけらかんとした声は場を瞬時に凍り付かせた。勿論いい意味で。きょとんとする山姥切を尻目に、彰人は満面の笑みを浮かべ山姥切へと手を差し出した。
「俺さ、いつか理仁に困ったことがあったら絶対に助けてやるって約束したんだ! 俺はあいつの親友だからなっ、あいつが一番信用している山姥切と一緒に行く方が安心するっ」
「……俺が、理仁に信用されている……だと?」
「だってそうだろ。そうでもなくちゃ、あいつはわざわざ身を挺してまで他人を守ろうとなんてしねぇよ」
その言葉を聞き、山姥切が思い出したのは演練の時の光景だ。三日月に斬り伏せられようとした時、理仁は果敢に飛び込み場を収めた。あれは……あれが彼なんだと思い込んでいた。そういう男なんだと、勝手に思っていた。でもそれは間違いだと言うのか。