第8章 laboratory
「君のお姉さんは真面目で従順だったけど、彼女の近侍がとても頭の切れる奴でね。そのせいで私の野望は散りになったよ」
「お前の目的はなんだ」
「私の目的か? ははっ、私の目的はね……人工的に歴史修正主義者を作り出すこと! この研究が成功すれば、私は神にも等しい存在になれる!! だがそのためには、強く結ばれた縁を持つ審神者と刀剣が共に闇落ちする必要がある。なのに彼女の刀剣はそれを拒否した! 私の野望に気付いていたんだろうな……自害した」
「お前達が……姉さんを殺したのか!」
「直接的にではないが、間接的にはそうなるのかな? だから私は君を選んだ。姉を失った闇を持つ君と、前の主への恨みを強く残した山姥切国広。いいコンビだろう? 君達が絆を深めれば深めるほど、私の願いに届く!」
その瞬間、理仁は普段から鍛え上げて来た力を惜しみなく使い、自らを押さえ付ける武装した男共を蹴り飛ばし抜け出す。それを合図に一期は理仁の傍らに駆け寄り、襲い掛かろうとする武装集団を峰内でいなす。
「君は本当に面白いな理仁君! 私から逃げるかね!? 野望を知ってなお、生きてこのまま本丸に戻れると思っているのか!?」
「一期走れ! ここは退くぞ!!」
「わかりました」
理仁達はその場から逃げ出すように、走っていく。
「逃がすな! 奴は大事な私の生贄だ! 捕えろ!!」
男の叫び声と共に武装集団は理仁達を追う。理仁達は急いでエレベーターに乗り込むと、地下へのボタンを押した。