第8章 laboratory
「ここは上層部ですからね、通常の時の政府対策機関とは切り離されております。対策と特務に分けることで、より密度の高い作戦を目指しております」
「てことは、審神者管理課は通常の部類になるのか」
「はい。対策機関は貴方のよく知る現代にビルを持ちます。現代ですと、私は形を保てないのでお供することが出来ませんが」
「ここは大丈夫というわけか。通りでこんのすけが着いていくなどと言うから、大丈夫なのかと疑問に思っていた」
三人はエレベーターに乗り込むと、最上階へ向かう。だんだんと上昇する箱の中、理仁は憂いを帯びた瞳で窓から外を眺めていた。何処までもビルや工場が立ち並んでおり、一種の近未来にも見えてくる。本丸の中が、まるで本の中のようでここにいるとあそこでの出来事が、全て夢のようにさえ思えてくる。
それを払拭してくれるのは、一期の存在だ。理仁は一期へと視線を向けると、それに気付いた一期がこちらへと顔を向けた。そして小さく、理仁の耳元へと口元を寄せた。
「主殿、心配なさらなくても大丈夫ですよ。私が必ず、貴方をお守りします」
「……ありがとう」
このまま何事もなく、終わってくれればいいと心の中で願った。
最上階へと到着すれば、扉の先は真っ暗な場所だった。こんのすけが先を歩き、立ち止まった。その場所まで、理仁達は歩いて行く。心なしか緊張が走る。こんのすけの隣に並べば、こんのすけが頭を下げたのを見て、理仁も片膝を折った。一期もそれに倣う。