第1章
でも、浅葱色の羽織を着た人々は、何のためらいもなく刀を振るった。
ザクぅぅぅ
浪士
『うぎゃぁぁぁぁ!!??』
『ひゃっははははは!!』
断末魔に、甲高い声が重なった。
暴力に身を任せて刀をふるう。
耳をつんざく絶叫が、
次第に弱々しく消えていく…。
――――嗚呼
今、私の目の前で人が殺されたんだ。
……足に力が入らなくて、
私はその場にへたり込んでしまう。
見開いた目を、閉じることもできない。
彼らは息絶えた浪士を、
何度も何度も何度も何度も、
繰り返し斬って刺して突いて貫いた。
肉を切り、骨を断ち、血を流す。
他者の命を暴力で侵したい、
ただそれだけの狂気があった。
……こんなの、人間じゃない。
彼らは壊れてしまっていた。
『―――――――っ』
喉が詰まるようで息ができない。
鼻先をかすめた濃い気配こそ、
溢れ返る血の匂いだとようやく気づいた。