第1章
『っ?!』
弾かれたように振り返ると、
三人の浪士が私に視線を向けていた。
『な、なにか?』
私は、平静を装いながら、
とっさに小太刀へ手をかける。
父様は私に護身術を学ばせてくれた。
道場通いを続けたおかげで、
私もそれなりに武術で抗することができる。
だけど……。
自分の身を自分で護れるという過信が、
この状況を招いてしまったのかもしれない。
……失敗した。油断しすぎていた。
私は内心で反省しながらも、
三人を相手取るのは面倒だと冷静にはんだんする。
浪士二
『ガキのくせに、いいもん持ってんじゃねぇか。』
浪士たちが見ていたのは、
私というよりも私の持った小太刀だった
浪士三
『小僧には過ぎたもんだろ?』
浪士一
『寄越せ。国のために俺たちが使ってやる。』
『これは…―――』
私の家に代々受け継がれている、
とてもとても大切な小太刀だ。
絶対に渡すわけにはいかない。