第1章
……―――――
父様は、約束通り手紙を送ってくれた。
私が返事を書くよりも早く、
父様の手紙は毎日のように届いた。
一人で留守番する私のことを、
いつだって心配してくれていた。
なのに……。
その父様からの連絡会途絶えて、
もう一ヶ月が過ぎていた。
『父様……』
あちこちから浪士たちが集まっている今の京は、決して平隠な場所じゃない。
武士に生活しているだけのお金をくれるのは、彼らが仕えている主家まけれど……。
主家を持たない浪士たちは、
人々から金を巻き上げることもある。
侍という権力を笠に着て、暴力を振るう乱暴者たち。
そんな浪士が集まっている京の都……。
父様は、大丈夫なのだろうか……。
良くない可能性ばかり考えて、
どんどん気持ちが落ち込んでしまう。
『でも……。
まずは、泊まる場所を探さなくちゃ。』
気がつけば夜も更けている。
父様を探すのにどれくらいかかるか、
正直なところ検討もつかないし……。