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薄桜鬼~最愛~

第1章 あどけない温もり


いつも夢の中で聞こえる声……


『……何で…総司なんだよ?』


誰の声なんだろう……。

私に向けた言葉なんだろうか……。

『総司』って……やっぱり沖田さんの事だよね。

沖田さんに聞いてみようと思った時もあったけど………

結局、知るのが怖くて聞けないままでいる。


私はここ半年程の事しか記憶が無い。

それ以前の事を全て忘れてしまっている。

ある時、目が覚めたら怪我をしていて、此処に居た。

不安に押し潰されそうだったけど、そんな私を近藤さんが救ってくれた。

私の『これまで』と『これから』を指し示してくれたから。

近藤さんが話してくれた事が真実かどうかなんて、どうでも良かった。

「此処に居てもいい」その言葉だけが私の拠り所になった。

新選組の隊士の皆も凄く親切にしてくれるし、近藤さんを始め、永倉さんや原田さん、そして沖田さんも私をとても可愛がってくれる。

………土方さんはちょっとだけ怖いけど。

でも……その優しさが私に過去の事を思い出させないようにしているみたいで、時々不安になった。

だから余計に、あの夢の声の事を沖田さんに聞くのが怖いのかもしれない。
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