第1章 あどけない温もり
『…………何でだよ?』
………………?
『……何で…総司なんだよ?』
…………誰?
『何で総司なんだよっっ!!
俺だって、ずっと………俺の方がっっ…』
あなたは誰?……教えて………
はっ…と目を覚ますと、私の顔を覗き込んでいる人と目が合った。
「おはよう、有希ちゃん。……良く眠れた?」
「………沖田さん?
……って、どうして沖田さんが私の部屋に居るんですか?」
私は耳まで真っ赤に染めながら、布団を引き寄せ自分の寝間着姿を沖田さんの視線から隠す。
「だってさ…有希ちゃんの部屋の前を通り掛かったら、
どうしても君の可愛い寝顔を見たくなっちゃったんだよね。」
そう言う沖田さんの笑顔に少しどきどきしながらも、私は困ったように沖田さんを見つめた。
「あの……着替えたいので出て行ってもらえますか?」
「はーい。……あ…着替えるの、手伝ってあげようか?」
「だっ……大丈夫ですっ!一人で出来ますっ!」
「あはははは…本気にしちゃって。
やっぱり有希ちゃんって可愛いね。」
沖田さんは私の頭をぽんぽんと叩いてから「もうすぐ朝御飯だからね」と部屋を出て行った。
沖田さんはいつもこんな感じで私を構ってくれる。
困ってしまう時もあるけど……でも嬉しく思う気持ちの方が大きい。