第6章 影
そんな僕と有希ちゃんの変化に気付いた新八さんと左之さんが、心配して声を掛けてきた。
僕が有希ちゃんの記憶が戻った事を伝えると、新八さんも左之さんも頭を抱えたけれど結局は何も出来ないのだから、敢えてその事に触れるのは止めようと決めた。
「でもよ……だからってどうしてお前が
有希ちゃんと距離を取る必要があるんだよ?」
新八さんが尤もな疑問を口にする。
「怖い…って言われちゃいました。」
「怖い…?総司の事が怖いってか?」
「僕に触れられるのが怖い……らしいです。」
それを聞いた新八さんと左之さんが顔を見合わせる。
「もう…いいです。
僕に触れられるのが怖いなら、僕が触れなければいい…
それだけの事ですよ。」
「いやっ…総司……それは……」
左之さんが何か言いかけたけど
「僕はね……お二人が思ってる程、強くないんです。」
そう自嘲して、僕はその場から離れた。
よく「病は気から」って言うけど、本当にその通りだと思う。
有希ちゃんに避けられるようになってから、死病は着実に僕の身体を蝕んでいった。
食事も欲しくないし、床から出られない日も増えて……
近藤さんや土方さんにまで心配されるのは本当に心苦しかったけど、でももう僕自身が投げ遣りになっていた。
だって……自分の部屋から出なければ、有希ちゃんの顔を見なくても済むんだから……。
このまま消えて無くなりたいな。
もう……疲れた。