第8章 遊園地へ Let's go!
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「足は腫れていないようですし、心配いりませんよ。念の為湿布を貼っておきましたから、一応今日は安静にしておいてくださいね」
『はい、ありがとうございました』
キドを診てくれた医者にぺこりと礼をして、救護室を出た。
足が腫れていないのは当たり前だ。
捻った訳がないのだから。
でもまあ、後々追求された時の為の逃げ道みたいなものだ。
キ「…なあ、カナ。なんであんな嘘をついたんだ?」
キドは私の顔を覗き込みながら、そう尋ねてきた。
…なんで、ねえ。
『……なんとなくですよ』
キ「な、なんとなく?本当かそれ…」
怪訝そうに眉を寄せるキド。
まあ気持ちは分かる。
あの場面でなんとなく嘘を吐くなんて、普通はしないだろう。
いや、する必要がない。
事実、私にはちゃんとした理由があって嘘を吐いた。
…あの様子じゃカノにはバレてたかもしれないが。
『ええ、なんとなくです』
含み笑いをしながらそう言うと、キドは聞き出すのを諦めたのか、失笑して「そうか」と呟いた。
キドがそれ以上追求してくる事は無かった。
なんだか妙な雰囲気になってしまったが、キドに促され私達は集合場所へと並んで向かった。