第7章 夏風邪にご用心
カ「どうしたの?カナが訪ねてくるなんて珍しいじゃん。あ、もしかして、僕が居なくて寂しかったとか〜?」
『ご心配なく、そういった事は一切ありませんから』
真顔でズバッと言い切るカナ。
……真顔…けっこうキツイよ?
カ「そんなスッパリ切らなくても…。で?ほんとに何しに来たの?」
『お茶するんで誘いに来たんですよ。クッキーありますけど…』
カナはそこまで言うと僕の方に手を伸ばしてきた。
そして、僕のおでこに手を添える。
突然の事で思わず焦ってしまった。
カ「えっ、な、何してんの、カナ」
『……やっぱり。この状態じゃ、お茶どころじゃないですね』
カ「え……?」
やっぱり……?
カナの言葉にキョトンとしていると、カナは呆れた顔で僕を見据える。
『どうせ熱あるの隠してたんでしょう?触った感じからして、38度5分くらいでしょうけど』
ドンピシャだ。
なぜ触っただけで分かったんだ。
いや…それよりも…
カ「…気付いてたの?」
熱のせいだろうか。いつもより声が弱々しくなってしまった。
そんな僕の態度に驚いたのか、カナは少し目を見開いた。
でもすぐにまた呆れ顔に戻ってはぁ、と溜め息を一つつく。
『気付いたのはついさっきです。ただ、買い出しから戻ってきたときから違和感はありました。そこまで冷房効かせてるわけじゃないのに、アジト内を寒いって言うくらいですからね』
そこからか。
確かに、帰ってきたとき思わず寒っ!!と叫んでしまった気がする。
『…で、さっき偶然体温計が無くなってるのを発見して…確認がてらお茶のお誘いに来たわけです』
そこまで言うと、カナはまた溜め息をついた。