第7章 夏風邪にご用心
カノside
ーーピピッ ピピピッ
耳につく電子音が鳴った。
部屋に来るときに拝借した体温計を見てみると、案の定38度5分と表示されている。
カ「…まさかとは思ったけど…はぁ…」
体温計の電源を切ってため息をつく。
まぁ、薄々思っていたことだ。
朝起きたら異様にダルかったし、買い出しは異常に疲れたし、アジト内は普段はちょうど良いのに震える程寒いし。
でも、これ以上カナとマリー(ついでにコノハ君)に負担をかけるわけにはいかない。
朝から《欺い》てなんとか誤魔化してきた。
さすがに限界になってきて部屋に居るわけだけど…まぁ、少し寝れば楽になるだろう。
カ「……ほんと、誰も気付かないよね…」
自分で言ってて無性に虚しくなる。
悪寒のする身体を包むように、ベッドに潜り込もうとしたその時だ。
コンコン
『…カノ?今入っても大丈夫ですか?』
控えめなノックの音の後にカナの声が聞こえてきた。
マズイ、この体温計隠さないと。
僕は急いで体温計をベッドの中に隠し、被ろうとしてた毛布をはぐ。
そして《能力》を使った。
カ「あー、うん。良いよー」
『…失礼します』
相変わらずの格好でカナが入ってきた。
入ってくるや否や、カナは僕のベッドの横に椅子を持ってきて座る。
何をするつもりなんだろうか…?