第7章 夏風邪にご用心
『あ、じゃあ私呼んできますよ。お二人は先に食べててください』
マ「ありがとう、カナちゃん」
コ「…いただきます」
私はソファから立ち上がりカノの部屋へ向かおうとする。
だが、ある事に気付いた。
…ここにあった体温計、何処にやったんだろう?
ペン立ての様なケースに入れておいたハズの体温計が、二つあるうちの一つが無くなっていた。
持っていった記憶もない。
何処かに落ちているのかと辺りを見回すけど、それらしい物は何もない。
むしろゴミ一つ落ちていない。
私は紅茶に砂糖を入れているマリーちゃんに尋ねた。
『マリーちゃん、体温計どこにやったか知りませんか?』
マ「体温計…?ううん、私は持って行ってないけど…無いの?」
『はい。…私が誰かの部屋に置いてきたのかもしれません。ついでに探してきますね』
マ「うん。行ってらっしゃい」
マリーちゃんとコノハさんに見送られ、私はリビングを後にした。
胸の内で膨らむ違和感。
多分、あの人の仕業なんだろうけど…確証はないな。
一人もんもんと考えながらカノの部屋へと向かった。