第7章 夏風邪にご用心
キドの部屋のトビラをノックして中に入る。
両手が塞がっていて、肘で頑張って開けたため結構キツかった。
キ「お…カナか」
ベッドに腰掛けたキドが、私に声をかけてきた。
『キド。起きてたんですね』
キ「ん、だいぶ楽になったからな」
『それは良かったです。お粥、作ったんですけど…食べられますか?』
キ「ああ、いただくよ。カナが作ったのか?」
キドの問いに私は苦笑する。
実を言わなくても…私、料理不得意なんです。
『まぁ…一応毒味はしてありますけど…自信なくて』
キ「毒味って…大丈夫だろ。お粥を失敗する方が難しいと思うけどな」
『あはは…』
尚も苦笑しながらお盆をキドに手渡す。
用意しておいた木製のスプーンで、キドはお粥を一口食べた。
『……ど、どうですか?』
キ「…うん、美味い。塩味も丁度いいし、卵が入ってるのも栄養があって良い。上出来だ」
『ほ、本当ですか!?良かったぁ…』
メカクシ団のお母さん的存在(らしい)キドにそう言ってもらえて、心底ホッとした。
小皿に乗った梅干しに目がいったのか、キドがお。と言いながら箸で摘み上げた。
キ「これ…」
『あ、はい。マリーちゃんに場所教えてもらって。キドの手作りの梅干しです。さっき一つ食べたんですけど、すごく美味しかったですよ』
キ「そうか?良かった。なかなか日の目を見るときがなくてな…食べてもらえて嬉しいよ」
『いえいえ。こちらこそ、お粥の付け合わせがあってとても助かりました。ありがとうございます』
二人で礼を言い合って、笑い合った。