第6章 2日目のお昼時
キ「二つも持ってるとはな…この例は初めてだ」
カ「いや〜さすがにそこまで想像してなかったよ。《癒す》ってのはなんとなく内容は分かるけど…《見す》ってのはどんな《能力》なの?」
『………狂気的で、残酷な…おぞましい…《能力》です』
俯き、膝の上で拳をギュッと握りしめる。
そう…目を《見す》能力は残酷なもの。
今でこそある程度はコントロールできているけど、昔は酷かった。
どれだけ…どれだけ被害者を出したんだろう…。
キ「……カナ、大丈夫か」
キドの声にはっと顔を上げる。
周りを見回せば、心配そうな顔で私を見つめる三人。
…何やってんだろ、私。
カ「…なんかごめんね、嫌なこと思い出させちゃったかな?」
マ「ご、ごめんねカナちゃん…」
『いや…謝らないでください二人とも。むしろ、謝るべきは私の方です。大丈夫とか言っておきながら、勝手にヘコんで…本当にごめんなさい』
ソファに座っているため、頭を下げたら膝に当たってしまった。
まあそんな事、気にするほどでもないけどね。
キ「カナ、顔を上げろ」
『え…あ、はい』
キドの突然の言葉に反射的に顔を上げる。
すぐに目に飛び込んで来たのは、キドの優しげな顔。
思わずお母さんかと思った。
キ「お前が謝る必要なんてないさ。誰だってこの《能力》で苦い思いをしたことはある。むしろ、それを言葉にしたお前は勇気がある。凄いことだ」
『キド……ありがとうございます』
正直良く分からなかったんだけど、なんかホッコリした気分になった。