第4章 メカクシ団
そんな事を思いながら改めて紅茶の匂いを嗅ぐ。
芳しい香りにつられて、私は手の甲に着いた紅茶をペロリと舐めとった。
あ…これ、美味しい。
「…あの、美味しいですね、これ」
素直な感想を述べると、4人は目をまん丸くして私を見る。
え、私なんか変なこと言ったかな?
少し首を傾げる。
先程まで大爆笑していた猫目さんが、感心したように頷いた。
「いやー、紅茶かぶって味の感想言うなんて、かなりの大物だねぇ」
「確かにな。普通は怒りそうなものだが」
緑髪さんも頷いている。
いや別に、ワザとやったわけじゃなさそうだし…怒る必要無いかなー、と。
白モフさんは目に涙を溜めながら、私の元に歩み寄って来た。
「あの…ごめんね。あと、ありがとう!紅茶、美味しいって言ってくれて!」
「あ…いえ、お礼言われる程のことじゃないんで…」
可愛いな白モフさん。
ふと、目の前に立った昨日の人がタオルを手渡してくれた。
「とりあえず、それ着替えた方が良いっすよ。お風呂沸かしてあるっすから、遠慮なく入ってくださいっす」
「…なんかすいません…」
ぺこりとお辞儀をする。
タオルであらかた拭き、緑髪さんの誘導でお風呂場に行った。
「服は…洗って乾かすまで着られないから、俺のを貸してやる。悪いが、それで我慢してくれ」
「いえ、十分です。ありがとうございます…」
「そうか?まあ、ゆっくり入ってくれ」
緑髪さんはふっと笑い、お風呂場から出て行った。
私は服を脱ぎ洗濯機に入れる。
湯気が立つお風呂に浸かって、しばらくぼうっとしていた。