第3章 1.合宿しようよ!
『橋田君は何がしたいの?』
裕太「…それはどういう意味ッスか?」
『そうだね、質問を変えるよ。今橋田君が一番望むことは?』
裕太「…俺は…勝ちたいッス。そんで…そんで、さんに認めてもらいたい」
『…あたしに?』
裕太「はい。さんは凄いッス。PGとして、1人の選手として認めてもらいたい』
さんは嬉しそうに、だけど少し困ったように笑う。
『ありがとう。あたしはそんな大層な選手じゃない。だけど橋田君の期待にも応えたい。それにあたしだって負けるのは嫌。そのために何をするべきか、もう答えは出てるじゃない』
裕太「答え…?」
『さっき自分で言ったじゃない。期待してるよ』
俺が言った?…そうか!俺は点をどうやって取るか、ボールの色を見極める事、DF陣に負けないようにばかり考えていた。俺のポジションは、俺の役目は…
裕太「降旗さん、そのままゴール下にいてください!さん、ラン&ガンでいきましょう!」
降旗「あぁ!」
『クスッ…了解!』
俺はPGだ。そしてその役目は司令塔。思い返してみればさんも降旗さんもPGとしての役目をしっかりとこなしていた。それに伴い結果もついてくる。それに今なら分かる。さんが最初に言った事。
『ふぅ。どうにかクリアしたね。どうだった?』
裕太「すいません、俺…」
『そういう事が聞きたいんじゃないの。けど…その表情からすると答えは見つかったようだね』
裕太「!は、はい!」
さんは俺の限界を見抜いていた。レベルの高い海常のプレイに合わせ、本来得意としていないハイペースゲームになっていた。降旗さんを意識させたのは、降旗さんの得意とするバスケがスローゲームだったから。
裕太「けどスローゲームは海常には向いてないと思います。だから、俺が出来る範囲で海常に似合ったゲームプランが行えるようにやってみます!いえ、やります!そしてさんに認めてもらいます!」
『クスッ…うん、上出来!頑張れ。応援してるし、期待もしてる。待ってるよ』
裕太「はい!!!」
さんは凄い。けどそのさんが俺なんかに期待してくれている。裏切りたくない。やってやる!!!