第3章 1.合宿しようよ!
『次のメニューは3人1組でやってもらいます。藍、メンバー発表お願い』
誠凛のマネさんから次々とチームが発表されていく。
立花「じゃあ次。誠凛高校、降旗君。同じく誠凛高校、さん。最後に海常高校、橋田君」
…え?マジ?え!?さんと一緒!?やべぇ、嬉しすぎる!やっと憧れのさんと一緒に練習できる!
『静かに。今回はポジション別にチームを分け、3on3をしてもらいます。溝の一部に3色の色で塗り分けたボールを用意しました。OF陣はこれを同じように3色に分けたゴールの中に同色で入れ分け、DF陣は阻止するだけです』
「シュート成功で1点、失敗では変化なし。だがDF陣にカットされた場合にはDF陣に1点が入る。それぞれの持ち点は3点。10点先取したチームから抜けてもらう。最後まで残ったチームにはそれなりの罰が用意してある。心してかかれ」
『持ち点0でもリタイアです。思っているより難しいと思いますのでヒントです。色ばかりに気を取られていると、負けますよ?』
さんの言葉を最後に説明は終わり、俺はさんの元へと向かった。
裕太「さん!」
『橋田君、頑張ろうね』
裕太「もちろんです!でも最後のヒントって?」
『自分で考えなきゃダメだよ。それと…橋田君は自分のPGとしての限界に気付いてる?』
裕太「限界、スか…?俺にはPGは向いてないって事ッスか!?」
『ごめん、言い方が悪かったね。橋田君は自分で自分の能力に蓋を閉めてるの。せっかくの才能がもったいないよ』
裕太「蓋?才能なんて…俺にあるんスか?」
『才能っていうのは誰もが持ってるものなの。だけど全員が全員その才能を活かしきれているわけではない。橋田君はまさにその状況』
裕太「どうやったら活かせるんスか!?」
『だから自分で考えなきゃダメだよ。でも…そうだね、この練習中に掴んでほしいから特別にヒントあげる』
さんは悪戯っ子のように笑う。それはとても綺麗で、あっという間に魅了された。
『今回このチームにしたのは、橋田君に降旗君のプレイを見てほしかったからだよ。後は自分で考えてね。ほら、行くよ』
そう言って歩き出したさんの背中は、小さいはずなのにとても大きく見えた。