第3章 1.合宿しようよ!
貴司side
言ってしまった。赤司主将に嫌われた。そうなったらもう洛山にいる必要はない。せっかく親の反対を押し切って県外である洛山高校に入学したのに。赤司主将の元でバスケをするために勉強だって頑張ったのに。
貴司「退部、か…」
追い出される前にせめて自分から退部しよう。荷物をまとめるために宿へと向かう。その途中でアイツラが僕の名前を呼んだ。
走って向かってきている。僕なんかのために。それが悔しくて僕も走った。
翔也「は!?ちょ、待てよ佐野!何で逃げるんだよ!」
貴司「うるさい!お前らだって僕に文句を言いに来たんだろ!もう放っておいてくれ!」
康史「誰もんな事言ってねーだろ!オイ!止まれ!」
どうして来るんだ。お前らはキセキに認められたエリート達なんだ、凡人の僕の気持ちなんて分かってたまるか。…そうだ、僕は赤司主将に認められたことなんかない、ただの凡人だ。
友香「アンタいい加減にしなさいよ!先輩に散々罵声を浴びせておいて、赤司さんに失望したからはい終了!?ふざけんじゃないわよ!」
貴司「だから放っておいてくれ!その赤司主将とに認められたんだろお前ら!ならそれでいいじゃねぇか!」
亮介「何ですかそれ!僕らがいつ認められたって言うんですか!」
裕太「お前は認められるためだけにバスケやってんのかよ!」
貴司「違う!けど認められなきゃそこで終わりじゃないか!」
拓斗「ちょ、1回止まれ!きちんと話そうぜ!時間もあまりないんだ!」
貴司「だから構うな!お前らは練習に戻ればいいじゃないか!」
栞「それが出来ないからこうやって追いかけてるんでしょ!」
叫びながらのダッシュはキツイ。それでも捕まるわけにはいかなかった。僕のプライドによって。
佳苗「いい加減にしなさい!」
思わず足が止まった。普段大人しいだけだった島崎が初めて叫んだ。
友香「か、佳苗…?」
佳苗「いい加減にしなさい…佐野君はただ逃げてるだけじゃない!」