第3章 1.合宿しようよ!
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『あたし、ちょっと様子見てくる!』
「!!!!!」
佐野君を探そうと走り出した瞬間、征ちゃんに怒鳴られた。今まで聞いた事の無いくらい声を荒げた征ちゃんに、思わず足が止まった。
「…やめておけ。それは逆効果にすぎない」
『…それでも放っておけないよ。一緒に頑張る…仲間だもん』
「それでも今は待ってくれ。それに今は合宿中では責任者だ。それを放棄するのか?」
『…分かった。ごめん』
「いや、僕も大声をだしてすまない。それに洛山の問題なのに…すまない」
拓斗「…俺が迎えに行って来ます」
『拓斗君?』
すると他の1年生も俺が、私がと手を挙げてくれた。
亮介「休憩時間はあと8分あります。それまでに戻ってくるので、どうか許可してください!」
美雪「これは私達同期の問題でもあります。お願いします!」
『…征ちゃん…』
「…分かった。貴司の事は頼んだぞ」
1年「はいっ!」
1年生は走って体育館の外に出て行った。姿が見えなくなってから、キセキの世代と元鈴城のメンバーがあたし達の元にやって来た。
凜子「…若いっていいね」
優希「1つしか変わらないでしょう。でも…」
捺美「こうやって成長していくんだね」
「つーかよ、これで良かったのか?」
「正解なんて誰にも分かりませんよ」
「…そッスね。俺達に出来る事って一体何があるんスかね」
茉実「私達は後輩が歩く道を何本も用意すればいいんだよ」
「その中でどれを選ぶかは、アイツラが決めることなのだよ」
「え~?それも自分達でやるんじゃないの~?」
雅「それでも見つからない部分を私達が助けるんだよ」
皆分かってる。あたしたち先輩が後輩に出来る事を。やらなければいけない事を。
「大丈夫だ。仲間ほど頼りになるものはない」
『そうだね。あたしも後輩を信じるよ』