第3章 1.合宿しようよ!
赤司side
マネージャー陣は思った以上に良いタイミングでストップをかけてくれた。そのおかげで全員が答えを見つけたようだ。…1人を除いたら。
貴司「ハァっハァっ…」
「…貴司」
貴司「!赤司主将…」
「貴司、お前はこの練習どう思った?」
貴司「…これ考えたのって赤司主将じゃないですよね。今日のメニュー全てです」
「ほぉ…どうしてそう思う?」
貴司「赤司主将の作る練習メニューはいつも目的がはっきりしていて、僕達のやる気を引き出してくれます。それなのに今回のメニューではそれが見えません」
貴司はバカではない。むしろ頭は切れる方だと思っていた。1年生の言う通り、発案者がだと分かった瞬間、考える事を放棄している。
「貴司、良い事を教えてやる。お前の言う通りこれらのメニューの発案者はだ。だが僕はそれに異見するつもりは毛頭ない」
貴司「赤司主将は騙されてるんです!彼女だからって理由で操られてるんですよ!」
「…確かには僕の彼女だ。だがそれは関係ない。僕はの意見を彼女のモノとしてではなく、バスケ選手の意見として捉えている。僕は彼女の事を尊敬している」
貴司「やめてくださいよ!」
貴司がいきなり大声を上げたため、休憩中だった全員が静かになりこちらを見た。
「貴司」
貴司「やめてくださいよ…赤司主将の口からそんな事聞きたくありません。もう僕が憧れた赤司征十郎は…いないんですね…」
「貴司!」
貴司は悔しそうに顔を歪めながら走って体育館を出て行った。何事かとざわざわし始める。するとと1年生が僕の元にやって来た。
『征ちゃん…』
「気にするな、は悪くない。これは貴司の問題だ」
翔也「そうッスよ。ほっとけばいいんだ、あんな奴」
裕太「俺達は強く為に来てるんスから」
友香「ほら、元気出してください!先輩!」
憧れ、か。憧れは時に人を強くするが弱くもする。以前涼太がそうだったように、憧れてしまえば越えられない。