第3章 1.合宿しようよ!
佳苗side
先輩の考える練習メニューにはいつも何かしらの目的がある。今回は…
佳苗「先輩」
『どうしたの、佳苗』
佳苗「今回の練習、筋力強化の他にメンタルトレーニングも兼ねてますよね」
「えっ!そーなのか?」
『大我君はもう少し考えようね。佳苗、正解。だけどそれだけ?』
佳苗「まだ何かあるんですか?」
『クスッ…終わるまでに考えてみて。あ、初めに考えてた方がいいよ。すぐに余裕もなくなってくるから』
先輩が言い終わるとともに私達の番が来た。今回の目的。私が考えたのは、いつ終わるか分からない中での集中力を維持させるためのメンタルトレーニング。だけど先輩はこれ以上の事も考えてる。
私も負けじと必死に頭を動かす。動きとしては本当に基礎的な動き。これで技術の向上は望めない。誰もが獲得しているから。分からない。
分からないまま1時間が過ぎた。足元が今にも崩れそうだ。こんなに長時間ステップ練習をしたことがないため、体力と集中力が削がれていく。実際に何人かは集中力が切れていた。かく言う私も限界はすぐそこまで来ている。
皆口には出さないが、この練習に対して不満を持っている。そう感じていないのは赤司さん達キセキの世代と、先輩のみ。
そしてそれは限界に達した。
「オイお前、何なのだよそのふざけた態度は。やる気がないなら抜けろ」
3列前にいる緑間さんがある人物に声をかけた。定期的な掛け声しか響いていなかった体育館にはよく聞こえた。
貴司「…やる気はあります。けどこの練習の意味が分かりません」
「バカめ、そんなのお前以外にも思っているやつはいるのだよ。それでも必死にやっている。だがお前はもう無理だ、抜けろ」
貴司「…やりますよ!真面目にやればいいんでしょう!」
また佐野君か。佐野君の前にいる高梨君が振り返り、私と目が合った。そして首を横に振る。まるで佐野君はもうだめだと言わんばかりに。