第3章 1.合宿しようよ!
康史side
『クリアしたチームから昼食休憩に入ります。クリアできないと昼食抜きになるので、頑張ってください。順番は呼ばれた順にやります。解散!』
全員「はい!」
まじかよ…さんと一緒にバスケが出来る!俺が最強だと思ってた青峰さんがライバルだと認める人、しかも女性。さっきのダッシュでも清々しい顔で走り続けた。佐野は認めないって言ってるけど、これはもう認めざるを得ない。
紛れもなくさんは天才だ。
それなのに青峰さんはつまらない感情でさんを見てる。一度フラれた今でさえ。いや、他のキセキの世代もか。だけど他の人はどうでもいい。俺の目標は青峰さん。その青峰さんが霞んで見えてしまう。
本当に好きなら貫き通せよ。下手に隠そうとすんなよ。かっこつけるなよ。半年も一緒にいないけど、青峰さんの弱い部分なんて嫌でも見えてしまう。俺はそれが許せない。
『…くん…藤井君!』
康史「!はい!」
『大丈夫?緊張してる?』
康史「いや…大丈夫です!」
福井「おいおい、頼むぜ?1発で決めたいからよ」
福井さんはさっさとコートに戻ってしまった。なんだよ、偉そうにしやがって。だいたいダッシュでは俺より早く脱落してたくせに。
『…藤井君、福井さんを責めないであげてね』
康史「でも!あの人は俺より…」
『それは福井さんが一番痛感してるよ。だけど福井さんはこのメンバーで最年長、責任を感じてるんだよ。それにあんな言い方になっちゃったけど、本当に強い人だよ、福井さんは』
康史「強い?ただ脅してるだけなのに?」
『最後の言葉は誰でもない、福井さん自身に向けて言った言葉なんだ。情報によれば福井さんのレイアップ成功率はあまり高くない。だから自分自身に言い聞かせ、後輩の前で宣言することで自分自身にプレッシャーをかけてる。そうとう強い精神力を持ってないと出来ない事だよ』
以前青峰さんと桃井さんが言ってた。さんは周りの事がよく見えてる、と。本当にそうかもしれない。この人が見てる世界は、どんな世界だろう。