第3章 1.合宿しようよ!
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キセキの世代以外は全滅、か。思わぬ収穫だったのは大我君が予想を遥かに超えていた事、1年生達が予想以上に体力、精神力ともにあった事。だけど…
「…貴司、か」
『え?』
「予想以上に早く脱落したんだろう?」
『…征ちゃんは何でも分かるんだね。藍たちがどれくらいまで見極めてるかが問題だけど…』
征ちゃんの言う通り、佐野君は予想より早く脱落してしまった。それこそ他の1年生に10往復の差をつけられて。この合宿では脱落者は出てほしくない。
「貴司の事を心配してくれるのはありがたいが、今は練習に集中しよう。気を抜いていたら大輝たちにも抜かれてしまうよ」
『クスッ…そうだね』
それ以来会話をする余裕もなくなってきて、100を超えたあたりで真ちゃんが脱落した。それを皮切りに次のダッシュで涼君が、その2つ後のダッシュであっ君が脱落した。それから10本までは大ちゃんも走っていたが、ついに脱落。残るはあたしと征ちゃんだけになった。
さすがに息が乱れてきた。けど…
「『征ちゃん/にだけは負けたくない』」
あたし達はお互いにクスリと笑うと走る事だけに集中した。
それから30分後。ダッシュの本数は200を超えていた。息はもう肩でおこなっている。
ピーーーーーーーっ!!!!
笛が鳴り響いた。思わず足を止める。間に合わなかったのか。けどタイムを見るとクリア圏内だ。
藍「そこまで!これじゃあいつまでも終わらないよ。と赤司君、とっくに目標本数越えてるから」
「それに次のメニューの時間が無くなっちゃうよ」
『ハァっ…ハァっ…分かった』
「ハァハァっ…いいだろう。、この勝負はお預けだ」
相田「勝負してたの!?って…10分休憩!ほとんど休憩してたと思うけど、次のメニューに備えてきちんと体休ませてて!」
全員「はい!」
リコさんの号令のもと、あたしは誠凛の荷物置き場へと向かった。