第3章 1.合宿しようよ!
「集合!」
征ちゃんの声が体育館に響く。その声にキセキの世代を始め、洛山のチームがいち早く整列する。
「今回は急な提案なのにも関わらず、よく集まってくれた。今回の合宿の提案者として洛山高校主将、赤司征十郎と」
『誠凛高校女バス主将、が指揮をとらせていただきます』
「今回集まってもらった理由は他でもない。今年の夏に行われるIHでは去年よりもハイレベルな試合を望んでいる。お互い切磋琢磨しあい、より高みをめざしていく。異論はないな」
全員「はい!」
あぁ、佐野君の視線が痛い。睨まれてるなぁ。
「では早速練習に取り掛かる。桃井、説明してくれ」
「はい」
さつきがスッと前に出てくる。さすが元帝光中敏腕マネージャー。征ちゃんの要求にきちんと応えている。
「まずは最初に28mダッシュを行ってもらいます。ルールは簡単で、8秒以内に走りきれなかった人から脱落です」
「オイオイさつき、8秒なんか余裕だぜ?もっと短くても問題ねぇよ」
「大ちゃん、最後まで話を聞いて。それぞれ足に5kgの重りを両足に付けてもらいます。さらに誠凛の立花藍さん、相田リコさん、私桐皇の桃井さつきによって皆さんの予想距離を計算させていただきました。その距離より5回は多く走ってもらうことを目標とします」
笠松「その距離あてになんのかよ?俺達は去年のWCの時より成長してるんだぜ?」
「大丈夫です。私達は先のことも予測できますし、皆さんは自分の限界以上走れば問題ありませんから」
「赤司っちの事だから、出来ない人にはそれなりの追加が待ってるんスよね?」
「それは僕から話そう。特に追加は無いよ。ただ…」
全員「…ただ…?」
「この合宿には必要ない。即刻帰ってもらおう」
この瞬間、全員の生唾を飲む音が聞こえた。
拓斗「その目標回数ってどれくらいなんすか?」
『それを言っちゃ意味がないよ、拓斗君。回数こなしちゃうと諦めちゃうでしょ?』
拓斗「あ、はい!すいませんッス!」
「…さぁ時間がもったいない。始めるぞ」
少しムッとした征ちゃん。どうしたのだろうと思う間もなく、練習は始まったのだった。