第3章 1.合宿しようよ!
『一方的に名前まで知られて、一方的に敵意向けられて…これじゃあフェアじゃないよね?』
貴司「…洛山高校1年PG、佐野貴司…」
「貴司…なぜここに来た。あれほど来るなと言ったはずだが」
貴司「主将は黙っててください。…僕はお前が赤司主将の彼女だなんて認めない…」
「貴司」
『征ちゃん、ごめん。あたしがちゃんとこの子と話したい』
「…分かった」
の真剣な表情に僕は肯定するしかなかった。だからこのことはに任せた。
『佐野君、だっけ。別にあなたに認めてもらわなくて結構…って言いたいところだけど、理由もなしに引き下がれない』
貴司「理由?理由ならありますよ。アンタのせいで赤司主将のプレイに戸惑いが生まれた。僕は赤司主将の最後の全中の試合に惚れて、追っかけて洛山まで来た。ところがどうだった?赤司主将は以前のようなかっこいいプレイをする機会が極端に減った。
仲間に頼るようになった」
『…それがあたしのせいだとでも?』
貴司「そうだ。他のキセキの世代だってそうだ。黒子さんはともかく…アンタはキセキの世代のバスケを奪ったんだ。そんな奴と一緒にいたら赤司主将はどんどんかっこ良くなくなってしまう。だから主将の前から消えろ」
「貴司」
『いいよ、征ちゃん。それに…もし佐野君の言ってる事が本当なら、あたしは嬉しい』
貴司「嬉しいだと?」
『嬉しいよ。だってあたしはキセキの皆に昔のように笑って皆でプレイしてほしかったから。バスケを楽しんでほしかったから』
バスケを楽しむ。昔からは変わっていなかった。変わってしまったのは僕達なんだから。
貴司「残念だったな。他の人はどうであれ、赤司主将はバスケを楽しむなんて考えていない。勝者こそ全てだ。僕はその言葉に惹かれたんだからな」
『別にあなたの価値観なんて聞いてない。征ちゃんのその言葉に惹かれたなら、あなたはそれを突き通せばいい。だからってあたしにも征ちゃんのバスケを決定する権利はない。あなたもあたしも、征ちゃんのバスケに口出しなんて出来ない。決めるのは征ちゃんなんだよ』