第3章 1.合宿しようよ!
紫原side
合宿所に着くと富ちんに起こされた。そして手を引っ張られて外に出ると、あの花の匂いが鼻を掠めた。
「あー、ちんだー」
『あっ君!久しぶりだね!』
「久しぶりー!元気だったー?」
『元気だったよ!あっ君も元気そうだね!』
亮介「あの…」
「あ、富ちんまだいたの?」
『初めまして。誠凛高校PG、です』
亮介「は、初めまして!陽泉高校SGの富岡亮介でしゅ!あっ…すみません///」
『クスッ…可愛い後輩だね』
「えー?うざいだけだしー」
富ちんを見ると耳まで真っ赤になっていた。噛んだのがよほど恥ずかしかったらしい。
『あたしもう行かなきゃ。じゃああっ君、また練習でね。富岡君もまた』
亮介「あ、はい!また…」
「えー、もう行っちゃうのー?って…あらら~、本当に行っちゃった」
ここにいても意味がないと思った俺は宿へと歩き出す。富ちんも後からついてきた。いつもと違うのは、隣を歩く富ちん。いつもなら後ろを歩くのに。
「…何?」
亮介「いえ。紫原先輩もちゃんと男の子だったんだなって思っただけです」
「バカにしてるの?」
亮介「してないですよ。ただ1人の女性に執着するのはかっこいいなって思っただけで…ぐっ」
「…バカにしてるのって聞いてんだよ、富ちんさぁ~」
首を絞めて睨みをきかせてやると、富ちんは一瞬怯み、何も言わなくなった。だから俺は手を放してやった。
亮介「ゲホッゲホッ…諦めるんですか?そこまで好きなのに、たった1回の失敗で?」
「…ちんには赤ちんがいるんだよ。それに…」
いつもはペコペコしかしてこないくせに、今はこんなにも強気で。ムカつく。すっげームカつく。
「それ以上この問題に首突っ込んでくるならさぁ、」
まるでこっちが本性だと言わんばかりのムカつく目をしている。それなら
「いくら富ちんでも…ヒネリつぶすよ」