第7章 ◆花火祭り
そうして、最後の大花火が
バンッと体中に響く音を立て花開く。
「 わぁ・・・大きい!」
「 本当だ!」
夜空いっぱいに広がる花火を見て
二人は思わず声を漏らした。
締めの花火が上がった途端に
静かになる夜空の中
壮大に散りゆく花火を見納めて
夏目とさなは一息つく。
「 最後も綺麗でしたね!」
ニッコリと笑いかけるさなの姿に
夏目も自然と顔が綻ぶ。
「・・・さな」
「 はいっ。」
まだ花火の余韻に浸っているさなを
少し躊躇いがちに夏目が名を呼ぶと
さなはいつもの笑顔で振り向いた。
「・・・さなは、
西村の事をどう思う?」
ー…西村がさなの事を好きなら、
もしかしたらさなも…。
少し緊張気味に
さなの返事を待つ夏目。
先程のさなの質問のお返しに
自分から投げ掛けた質問だったのだが
さなの返答次第で恐らく
夏目の心の余裕が変わる事を今更考え
何故か、質問した事に後悔した。
「 明るくて優しくて、
夏目先輩好きの人ですよね。」
ドキドキと
心臓が飛び出すような感覚の夏目に
一切構うこと無くさなは答えたが・・・
ー…はい?
屈託の無い笑顔で
最後に少しズレた答えを出すさな。
ニコニコと笑うさなを前に
夏目は思わずフリーズしてしまう。
「・・・え?
ぁ、あの・・・、俺?」
夏目は自分に向かって指を差すと
再度、確認した。